DQ12

ーDQ12の開発が難航している理由
 
DQ12の開発があまりにも遅い。11が出てからかれこれ7年は経とうとしている。3年前(2021年)にスクエア公式YouTubeチャンネルから、タイトル名だけ明かされたティザー映像が公開され、そのころはDQファンを大いにうならせた。ところがどうだろう。それ以降、公式からは何の告知もなく、その熱はすっかり冷め切っている。なぜDQ12の開発がこんなにも遅れているのか。見解を述べたいと思う。
 
ーマーケット市場の変化
 
めまぐるしく変わるマーケット市場は、消費者と販売者が一体となり商取引を行い、売買を成立させる。そこには卸売業者やメーカーなどの仲介人を挟むことが前提で、小売業は卸売業者から仕入れた商品を店頭に置き、価格設定をして販売する。そういう仲介者を挟むことが前提であった世界は、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の影響を受け徐々に崩れつつある。というのも、ゲームを作る会社は、主に一般消費者をターゲットに新作を売る大手の店舗に販売し、そこで顧客が買ってくれるのをひたすら待つ時代であった。ところが21世紀に入りIT社会の波が押し寄せると、ゲームを販売する会社は多様化する消費者ニーズに対応しきれず、十分な販路が確保できない状態に陥ってしまったのだ。
 
ありていに言ってしまえば、店頭販売はもう古いということである。店にわざわざ赴き、そこでゲームを購入する人は少ない時代だからこそ、既存のコンセプトを崩して新しい商機を生み出す必要があるのだ。そこでぶち当たるのが「広告力・訴求力」である。スクエアはDQ12の発表に際して、YouTubeというチャンネルを通して発売をほのめかしているが、そんな曖昧表現じゃファンはヤキモキするだけなのである。宣伝媒体がYouTubeだけというのも弱い。12の開発が難航しているのは、作品のクオリティうんぬんよりも限られた宣伝枠でいかに作品の良さをアピールできるか、この一言に尽きるのではないか。開発の目処は立ってるのだろうが、いかんせん限られた宣伝枠という間口の狭さから、店頭に売り出してもそれほど売れないのではないか?という懸念があるのだろう。
 
例えば、少し古いゲームになるが、シャドウゲイトというゲームをご存知だろうか。主人公自身がプレイヤーとなる点ではDQと共通しているが、そのリメイク版はクラウドファンディングで募ったファンの資金を元手に正式なローンチにこぎつけたという経緯がある。ファンによる訴求力をうまく活用してこそ成立していたゲームなのである。限られた宣伝枠をファンの協力という形で押し広げ、数々のリメイク作を生み出してきたシャドウゲイト
 
予算が足りないから、という意見もよく聞くがそうではない。であれば、DQ12予告編の発表から数々の新作が発売されているという事実を無視してはならない。DQ12の開発にはよほどのこだわりがあるのか、故・すぎやまこういち氏の遺作ということで、3人体制だったこれまでのDQシリーズの集大成的な作品に仕上げるべく手間取っているのか、あるいは本当に予算が足りないから発売の延期が死活問題となっているのか。
 
・キャラの作成を担当するデザイナー
・ストーリー構成を担当するプロデューサー
・BGMを担当するサウンドクリエイター
・ゲーム開発に必要な機器やツールを提供するツールベンダー
・ゲームのシステム上不可欠となる細かい1マスやウィンドウの演算処理を担当するプログラマー
 
・・などそれぞれが独自の担当業務を持ち、このうち1つでもいい加減な作業をすれば作品の質に関わり、大した利益は見込めなくなる。
 
予算が逼迫して、十分な人手を確保できないのか・・。真相は不明である。