ー概要
グループの発起人が歌手であるつんく。モーニング娘。は、一世を風靡したグループと言っても過言ではない。多くとも少なくとも言えない、絶妙なグループ人数から構成され、その圧倒的なダンスパフォーマンス力、歌唱力を武器に、一時代を築くビッグスターとなり得た。つんくが生み出したおニャン子クラブは、当時こそ熱はあったものの、徐々に下降路線に転ずる。一方、モーニング娘。はいくら大多数のグループに囲まれようがその軸をブレさせることなく、ダンスと歌の２点セットを極めたアイドルグループとして成長した。デビューシングルの時点でその萌芽は感じ取れたが、一時はシングルCDで伸びが怪しくなったり、舞台中にメンバーが怪我したりと、様々なグループとしての”壁”に当たってきた。
しかし、モーニング娘。は一貫したダンスパーフォーマンス力と歌唱力で、大きな人気の浮き沈みもなく、１度落ちたシングルもその翌年には持ち直し傾向にあり、メンバー同士の掛け合いや結束が上手かったことを物語っている。何より、モーニング娘。の最大の強みは、AKBや乃木坂46のようにグループ交代制ではなく、しっかりと役割分担が決まっていることだ。例えば、モーニング娘。にはセンターという概念が存在しない。あくまでグループ全体をまとめ上げていく総監督としての傾向が強い。楽曲ごとにセンターが入れ替わるのではなく、モーニング娘。は個の強みやポテンシャルを発揮できる機会を、楽曲シングルの形態問わず設けているのである。
世代交代という、メンバー同士の加入と卒業を頻繁に繰り返すのではなく、ある程度固定されたフォーメーションで高く評価されてきたのだ。そしてモーニング娘。はどのグループよりもメンバー同士のつながりが強く、チームワークの良さを乱さない。１人が舞台から外れても、次の公演ではちゃんと代打という形でそのメンバーを登場させ活躍の機会を与えているし、個の強さを何より大事にしてきた。個がそれぞれの強みを発揮することで、なんでもオールマイティにこなせる多国籍グループ（いろんな属性のメンバーがいるという意味で）と化している。
ーBTSとの類似点
ダンスのレッスンは毎日欠かさず、見る側の興奮を冷めさせない。そういう意味では、KPOPアイドルのBTSとかなり酷似している。BTSは、１０人メンバーで構成されたKPOP界のビッグスターである。もはやどのグループも超えることのできないところまで、その活動範囲を広げている。グローバルにつながっているこの世界において、国内のみローカルのみ地方のみの限定された活動では、その人気は当然ながら国内のみに偏る。しかし、BTSそしてモーニング娘。は海外にもその活動の軸足を移し、専用の常設劇場をもって多くのネイティブファンを沸かせている。
BTSファンのことを「army」というが、モーニング娘。には海外におけるこれといった正式名称はない。しかし、その海外ファンの盛り上がりは絶頂とも言える域にまで達しており、そこにはダンスのレッスンや歌唱力の高さ、メンバー同士の結束を重んじチームワークを一切乱さなかったその「一体感」「統一感」が何よりの理由として挙げられる。当時こそ伸び悩んだ時期はあるものの、それはどのグループも味わってきた経験だ。辛い閑散期を経て、一時代を誇る大スターにまで上り詰めるには長い下積みが必要であり、地道なライブハウスでの公演や野外でのパフォーマンスから徐々に人気を伸ばしていくのである。
ー長く細くの下積み活動を経て
参考として、歌手のゆずも、当時は路上でのバンド活動で陽の当たらない日々が続いていた。そういう人気歌手も、今や多くのヒット作を飛ばす大スターだ。そこに至るまで、いかに自分たちの軸をブラさず長く細く続けられるか。出川哲朗も当時汚らしいリアクション芸で嫌われ芸人の首位を記録したほどだが、今や多くの人から愛されキャラとしてそのリアクション芸を高く評価されている。ここで挫折し、リアクション芸から別の芸風へとシフトしていたら今ほどの人気は出なかっただろう。汚れ芸人という不名誉なレッテルを貼られ、世間からいくら批判されようとも、その芸風を狭めることなくリアクション芸１つを貫き通したからこその結果である。
