インボイス制度 浮き足立つ賃貸オーナー

ーー概要

インボイス制度の登録が10月1日から始まり、本格的な登録に向けて税務署に人が殺到する事態になっています。

免税事業者だった人が課税事業者に転換したり、元々課税事業者だった人が取引先の相手に「インボイスを発行してほしい」と要求する場合も見られ、スムーズな商取引を実現させようとしています。

そこで気になるのが不動産と賃貸契約を結んでるオーナーの存在。

 

ーーインボイスによる不動産への影響

私事で申し訳ないですが、私の父親も不動産会社の社長業をやっており、居住者からの家賃料をバックに収益を立たせていますが、この場合、インボイスの影響はどうなのでしょうか?

これは初めて知ったことなのですが、居住者から支払われる家賃料に「消費税」はかからない、ということです。

インボイスは消費税が課税される商品や店舗に影響を与えます

例えば、卸売業の場合、店舗に商品を仕入れる場合、棚卸しにかかった消費税と顧客の商品購入に際してもらった消費税の差額分を「仕入税額控除」として、そのまま「益税」として受け取れる制度が従来の税法だったのです

しかしそれが今回のインボイス制度により、「免税事業者のままだと仕入税額控除を受けられない」といったように法改正されたため、免税事業者は課税事業者にならない限り、消費税の(税率10%)全額を負担することになってしまいました。

このように消費税が上乗せされた額がそのまま懐に入れることができた免税事業者は「益税」という担保を理由に、本来税務署に納めるはずの税金をそのまま自分の利益にしていたのです。

これは問題だとして、公正な税取引を実現するために施行されたのが今回のインボイス制度でした。

 

ーーインボイスにより非課税の対象外になるかもしれない

ここで問題なのが不動産のテナントです。

不動産は本来、非課税です。

居住者に住ませる家も、そこから得られる家賃も。

なので前に述べた通り私の父親の場合はさして影響はないでしょう。

しかし私の祖母は20年以上前から消費者にテナント店舗を貸し出しており、そこの家賃収入を糧にこれまで生活していました。

ただテナントや店舗の家賃収入は非課税の対象にはなりません。(インボイスに登録しなければ納める必要はない)

立派な消費税の対象になります。

それは「サービスや役務の提供」に当たるからです。

居住者からの家賃収入が非課税なのは思えば当たり前です。

生活するために必要な家賃にまで消費税がかかるのは不当だ!として、1991年の税制改正で非課税となりました。(その前までは普通に課税対象だったことに驚きですが…)

しかしテナントは違います

これは飲食店や接待サービスなどを主に提供しているため、家賃収入に消費税がかかるのは当たり前という認識なのです

私の父親は影響を受けずとも祖母はかなりの打撃を負います

以前までは物件を所有していたのですが、それも全て売却してしまったので…。

なので今後は祖母もインボイスの登録を勧められるでしょう

そうでないと、テナント(弁当業)の顧客は消費税を10%丸ごと納める必要性が生じてしまうため、下手すれば撤去を余儀なくされてしまうかもしれません

かといって、インボイスに登録してしまうと今度は家賃収入に消費税がかかってしまい、税負担が増えてしまいます

まさに行くも地獄戻るも地獄ですね

そうした事態に備えて、インボイスへの理解を深めておくことは大事だなと思いました