ロブ・ルッチ(ONE PIECE)

ーー概要

ロブ・ルッチとはシルクハットをかぶり、少しビヨ〜ンとJ文字の要領で伸びた顎髭が謎のインパクトをひくガレーラカンパニー造船会社の社長である。度重なる航海でメリー号が傷んできたのでルフィたちは当社を訪ねるが、船は限界まで損傷しており修理はできないと断られる。そのとき対応したのがルッチではなくマネージャーであるカクだった。この時点で怪しげだったが、その正体はCP9(政府直属諜報暗殺機関)のリーダー格であり、政府の指示に従い水面下で悪事を重ねていた。

 

いわゆる喋り方は冷静そのものであり一見すると紳士的でジェントルマン風だが、実際は争いと殺しを何より好む殺人鬼であり非常に危険人物。戦闘のことになると我を忘れて血の涙もなくなる。敵や気に食わない相手に対する思いやりや情といったものは皆無で始末にたる存在であればとことん排除し自分にとっての政敵(アイスバーグ)や不都合となる存在の揉み消しもためらわない。ロビンは世界の鍵を握る重要人物だったためスパンダムの命によりロビンを拉致してエニエスロビーに向かわせる任務を請け負った。そこで対峙したルフィと戦闘に入る、というのが基本的な流れであるがアニメ版ではそれ以上に見応えのある戦闘を展開するので興味のある方はアマプラで是非。

 

ーー性格

 

基本的に物静かで冷静沈着な性格であるが、仲間からの信頼は厚い模様。また、そのクールでジェントルマン風の装いから読者からは意外にも人気がある。政府の命に従うだけの使い捨て駒かと思いきやそれはあくまで表向きの顔であり、上司であるスパンダムには従うどころか命令を無視して行動することも。あくまで自分が認めた者以外の命令には従わず、五老星や天竜人といった存在には頭が上がらず、ルッチですら服従を喫するほど。

 

その凶暴さゆえか仲間からの信頼はごく一部に限り、戦闘を放棄したネロに対しては情け容赦ない制裁を加え、他の職長仲間らを戦慄させた。己の立場を捨て敵に降伏や投降をした相手はたとえ仲間であろうが然るべき手を下し抹殺する。そのため、多くの仲間やW7に住む人らには畏怖されている。下手に刺激すると自分の命が危うくなるのでルッチに話しかけるときは常に細心の注意を払う必要がある。

 

ーー戦闘能力

 

その基礎戦闘力はCP9のリーダー格に恥じぬもの。遠くから斬撃を飛ばしたり、尻尾で相手を捕縛しそこから必殺技を放つなど、やたら器用な戦闘スタイルを見せる。最終奥義は六王銃であり、これを食らった者はほとんど意識不明かそのまま死亡に至るほど絶大な威力を誇る。両手の拳にエネルギーを集中させ気功を放つシンプルな技だが、身体の髄まで威力が届くのでルフィであるゴムの特性すらも無視して気功を炸裂させた。

 

また、「生命帰還」という肉体操作も可能であり、これにより肉体的な強度を上げることができる。その代償としてスピードが犠牲となり、動きは鈍くなるが、生命帰還は任意で解除することが可能なので身体の負荷に応じて臨機応変な使い方ができる。遠距離戦も得意で足を振り上げて斬撃を飛ばしたりデコピンの要領で放つ指銃もあり、その攻め手は実に多彩である。また、剃刀という瞬間的に動く身体機能も持ち合わせており、その動きをとらえるのはほぼ不可能。まして馬力4000を誇るルッチの剃刀は並の人間では動きをとらえるのは絶対的に不可能と言ってもいい。月歩といった滞空をかねた芸当も可能であり、空中に長時間(というかずっと)浮くことが可能。

 

総じてその基礎的な戦闘力は群を抜いており、ギア2を極めたルフィですら1度はダウンを奪われるほど。ウソップの叱咤を交えた鼓舞と激励により再び立ち上がったルフィにも「まだ動けるのか」と多少なりともルフィの実力は認めている節がある。

 

ーー総合評価

 

任務のためなら仲間の犠牲や殺しも平然と行う冷酷な人物であるが、それはあくまでCP9のリーダー格である自分の威厳を保つためであり「リーダーは部下の模範であれ」という言葉をまさしく体現したような男。恐ろしい戦闘狂だが、自分がある程度認めた敵には(皮肉混じりだが)賛辞の言葉を送るなど多少なりともの礼儀はある。ルフィに対しては「なかなかのボスの器」と評した。エッグヘッド編ではギア5のルフィに敗北したが、時間を稼ぐほどには成長しておりカイドウを負かしたルフィを長時間足止めしただけでも上出来といえよう。

 

いまだに2年前のルッチがルフィに負けた理由が不可解だが、それも大人の事情で片付けられる案件なのかもしれない。ロビン救出という自分に課された目的と、それを阻止するルッチの目的。どちらもガチの勝負であったが非常に見応えのある試合であり、ウソップの「立ち上がれ」という言葉が通じたのか、その後倒れることなくルフィのガトリングパンチによりルッチは転落して敗北。戦闘におけるルッチは人が変わったかのように凶暴になるが、普段は冷静とクールを装っている。そのためか、二重人格と言われることも。