スマホ

スマホの利用時間が増え、目の酷使が心配される昨今。タブレットや情報端末機器が普及し、ネット依存症と呼ばれる人種が増え始めたのは、遠い昔の話ではない。つい最近の出来事だ。SNS全盛期とも呼ばれる時代は、まさにコミュニケーションツールとして交流の場として、多くのコンテンツと繋がって世に発信できる素晴らしい世界だ。LINEもTwitterもなかった時代では、手紙かめんどくさいメール打ちしか情報伝達手段はなかった。情報発信が手軽になった分、ネットへの依存度がより高まり、本来の自分を失いつつある人が多くなったように感じる。俗にいう「ナショナルアイデンティティの喪失」だ。

 

例えば、スマホへの利用時間が増え、何を失っているか。それは「時間」である。正確には、「自分がやりたいことに割く時間」と言ったほうが適切だ。モノ消費と呼ばれる奮発のお買い物から、今度は時間を奮発する「トキ消費」と呼ばれる概念が誕生した。時間を食い潰す、という意味で、あまり良い印象は受けない。自分のやりたいことや趣味に時間を割けず、気づけばSNSに目をやってしまう。そんなSNSにがんじがらめにされた状態では、もはや自分のやりたいことや方向性を見失いつつあり、相当危険である。なぜガリ勉の人がわざわざカフェに行って勉強するのか、その理由がよくわかる。スマホが手元に置いてあると、つい気になって返信や反応を見たくなってしまう。

 

それらの通知を一切切り、カフェでは極力スマホを持参せずに勉強や仕事に集中する。静かで落ち着いたBGMが流れるカフェは、まさにアクティビティな整備が揃った作業向けの場所である。また、塾や図書館で勉強する人も多い。スマホの情報を一切シャットアウトして、通知が来ても反応しない。そもそもスマホを手元に置かず、朝の時間帯だけは作業に一点集中する。そうすることで勉強や仕事に割く時間が増え、作業効率化につながり、メリハリがつく。現代人の多くは残念ながらそれを実践できていない。

 

TwitterYouTube。これは本当に罪なアプリだと思う。ユーザービリティを意識した機能面の高さから通知の鳴る「ピコン」音、手軽にコメントやチャットできるライブやドラマ映画のオンデマンド配信まで何もかもがユーザーに対して至れり尽くせりのサービスが満載である。特に、LINEでよく鳴り響く「ピコン!」という音は、いやでもその人の興味関心をそっちに向けさせる作用があり、まさに音のトリックを利用した方法である。ユーザーに長時間ネットを見させる工夫をすることがApple社の狙いなのだ。思えば、YouTubeのアカウントもメアド登録して「アカウント新規作成」ボタンをワンクリックすれば、すぐに作れる手軽さがウリなのだ。だからこそ、余計にネットユーザーを付け上がらせることになるのかもしれない。