スイフー

ー概要

スイフーは、DQ7に登場するキャラクターです。見た目から重い鉄球を軽々と振り回す豪快な印象を受けますがその実力はダテではありません。ふもとの町にやってきた(落とされてきた)主人公たちに「剣とコブシが俺の挨拶だ」と言っていきなり勝負を仕掛け完膚なきまでにボコボコにしてきます。ネリスによれば、「自分が同じ目にあってたらしばらく起き上がれない」とのこと。

元々スイフーは山賊の1人でした。現代のダーマ神殿の本棚でその詳細が明らかになるのですが、山賊になった後の彼の苦労話が多く書かれており決して「最初から強かった」「楽して成り上がった」タイプではありません。しかしそれ以上の詳細には及ばずスイフーが山賊に成り上がるまでの詳しい情報は書かれていません。どのようにして今のような強さに成長できたのかは読者(プレイヤー)の想像に委ねられています。

ーそもそもスイフーとは?

スイフーをもう少し掘り下げると、その彼の男らしい生き様や哲学的なそれが見えてくると思います。まずダーマ神殿に立ち寄った旅人のほとんどがアントリアという偽の大神官に騙され、ふきだまりの町という場所に落とされています。スイフーや主人公もその1人でした。

スイフーはこの町のボスを半殺しにしてボスの座を奪い取り、真ん中に大きな屋敷を構えて町全体を支配しています。本棚には「勝利の条件」や「帝王学」といった、体裁だけ立派な本がズラーっと並びますが実は表紙だけすげかえたえっちな本らしく彼の本質を現しているとも言えます。事実、スイフーのそばに1人の女がおり彼の愛人的な存在なのかもしれません。

ースイフーの哲学

スイフーにはある1つの考え方があります。主人公たちをみんなの前で叩きのめしたのは、どうやら「見せしめ」の意味もあったとか。この町ではニセの大神官に騙されてやけを起こしかねない、そんな無法者が集まっていました。その中で1人でも「この町を支配したい」という考えを持ってるやつがいるのは想像にかたくないでしょう。そのためスイフーはあらかじめ自分の強さを主人公たちとの戦いを通して誇示することで自分の強さを見せしめ、相手側の気力や支配欲を削ぐ形で自分にケンカを仕掛けてくる馬鹿が出ないようにしているんです。まさに哲学的ですね。

しかしそのスイフーにボコられた1人の人間が、魔物に吹き込まれて魂砕きというものに手を染めてしまいます。魂砕きとは、魔物がことあるごとに人々に言いふらすもの。魂の剣を持ち5人の魂を砕けば奪った力を返してもらえるうえここから脱出させてもらえるという約束を取り付けたのです。それを鵜呑みにした1人の人間が、ついに夜、魂砕きを実行してしまうのです。

1人2人…と次々に斬りつけ、最後にネリスをかばったザジまで斬りつけ見事(?)完遂。しかし魔物によれば5人目(ザジ)の魂は砕かれていないとのことでした。ザジの魂を砕くには、少し傷が浅すぎたようで完全に砕くにはいたらなかった模様。そのため掟を破った罪で殺されるのか…と狼狽える1人の人間でしたが、魔物はその人間の勇気に免じて不問とし、5人の抜け殻となった魂とともにいずこかへ消えてしまうのでした。

ちなみにスイフーは殺人もそうですがなにより魂砕きを固く禁じていました。曰くゆすりたかりを見逃すスイフーが取り決めた唯一の掟とのこと。しかしこの1人の人間の魂砕きが成功したことによりスイフーの支配力がだいぶ弱まったようで、町全体がより微妙な雰囲気に。

なぜゆすりたかりは見逃すかといえば、偽の大神官に騙されて心を乱した人間の掃き溜め的な場所で、ゆすりたかりも見逃さないルールは明らかにおかしい、そして何よりスイフー自身がそのようなガチガチのルールを嫌っていたことが理由として挙げられます。ゆすりたかりもできない人間が日々募らせるものは「不満」。言い換えるなら、「人を殺したい欲求」。欲求不満に陥った人間は、何をしでかすかわかりません。人をいきなり殺してしまうこともあるでしょう。その事情を踏まえたうえでスイフーはゆすりたかりを見逃すくらいのゆとりを与えたのかもしれません。法に縛られない自由な生き方、スタイルを好む人間が取るべき最善の手段だったのでしょう。そういう意味でスイフーは人々をまとめ上げるカリスマ的な魅力を持っていたのかもしれませんね。