読者アンケート

ー概要

 

読者アンケートとは、その名の通り対象となる読者にアンケートを実施することである。例えば、あるコミックが発売された場合、作者だけの判断ではそのコミックに対して正当な評価を下せず第3者からの客観的な意見も必要となるときがある。会社で言えば社内報、学校でいえば満足度調査、書籍で言えば書評欄など。第3者の意見をもらうことで抜けてる箇所や訂正箇所の要点が定まり、より上質なコミックへとブラッシュアップさせることが可能である。

 

自分にとって最高の出来だと思っていたとしても第3者視点の意見では厳しい評価が下されることもある。しかし、その厳しい意見も含めてこそ、読者アンケートの目的なのだ。中には嫌がらせ目的でアンケートに答える人もいるが、その場合は最後のページに「自由記入」という欄を設け、コミックを読了した人のリアルな意見を聞くのである。従来の「はい・いいえ」の二者択一形式では、読者のリアルな意見を反映しにくいという欠点があった。それをヒアリング形式(聴衆)にすることで、聞き手の意見をじっくり吟味し、それをもとに改善を図ることでようやく読者のニーズにあったコミックを作れるのである。

 

ー読者アンケートのメリット・デメリット

 

漫画を描く際、まず「対象となる読者層に向けて出版する」ことを常に意識する必要がある。これはアーティストも同じで、「自分の好きな曲」ではなく「商品となれる曲」を作る必要があり、特にレーベルや大手レコード会社に所属しているメジャーの場合は売り込むことが第一なので、自分の好きな楽曲を制作するのはNG。コミックの場合は「小学生用向け」「中高生用向け」「大人用向け」「全年齢対象」といったように、細かく読者層のターゲットを区分することで1番伝えたい読者層を限定的に絞ることができ、描くときのテーマや構成も定まりやすくなる。

 

特に極端な話、少女漫画の場合は「女性限定」「Ladies Only」とラベリングをつけることで対象となる読者層を絞り、よりその分野への定着率が高いファンを獲得することができる。「逃がした魚は大きかった」にならないよう、常に読者層のニーズに合わせたコミックを描き、もし焦点が定まらない場合は定期的に読者アンケートを実施して読者の趣味傾向を掴むと良い。今後の執筆の際、大いに役に立つはずだ。

 

ここからはデメリットを挙げるが、正直いってデメリットはほぼ皆無に等しい。強いていうデメリットといえば、やはり読者の理想論に左右されてしまうことだろう。しかしこれは甘受するしかないのである。作品を売り込む以上、読者が描いてほしい理想に少しでも近づけることが利益享受につながる。もし本気で自分の思うように描きたいなら、出版社から独立してフリーで稼ぐしかない。

 

もしある程度の集客が見込めるほどの人気作家になっていれば、フリー後も漫画が売れる傾向は高い。アーティストの場合、矢沢永吉も事務所退所後、独立してから多くの曲をヒットさせている。一定のファンが定着すれば、むしろ人件費や広告費といった経費で落とされるよりも独立して利益を得れば全ての利益が自分のものになり、読者に縛られず描くことができるので一石二鳥なのである。

 

ー最後に

 

読者アンケートは、ときに厳しい評価が下されることもある。会社でも同じで、経営に携わる従業員のホスピタリティや接客態度がなってないということで、1つ星が付けられたり自由記入欄で「早く解雇してほしい」「まだ従業員やってんの?」と厳しい指弾を受けることもある。しかし、第3者からの意見なしでは自分を客観的に見つめることができず、むしろ会社の経営に携わる人ならば1つのミスや失態が死活問題につながりかねない。第3者の意見を反映させることで改善させるという方法はマーケティング戦略の一環として大いに重宝されており、ほとんどの企業が自社サイトやWebサイトなどのツールを通じて顧客による評価を促している。働いて生きる以上、自分では見えない欠点はどうしても存在する。読者アンケートの実施は、より自分を見つめ直すいい機会になるはずだ。ぜひ実践してほしい。